迎賓館(旧東宮御所) (72 画像)
迎賓館は、かつて紀州徳川家の江戸中屋敷があった広大な敷地の一部に、1909(明治42)年に東宮御所(後に赤坂離宮となる)として建設されたものである。明治天皇の皇太子・嘉仁親王(後の大正天皇)の御成婚後の新居として、1899(明治32)年に着工し、10年の歳月をかけて建造された。
構造は鉄骨補強煉瓦造りで、地上2階、地下1階の耐震、耐火構造となっており、明治時代の建築家片山東熊の総指揮の下に、当時の一流建築家や美術工芸家が総力を挙げて建設した、日本における唯一のネオ・バロック様式の西洋風宮殿建築である。国賓を招きレセプションなどが開かれる建物2階へと続く中央階段には、床面に大理石、その上に赤絨毯が敷き詰められている。第一客室「朝日の間」をはじめ、「彩鷲の間」、「花鳥の間」、「羽衣の間」があり、天井画、七宝画、壁面の鏡などそれぞれの部屋に個性的な装飾が施されている。ヨーロッパの建築様式を必死で吸収しようとしていた時代の息吹が、シャンデリアの細やかな意匠や天井画の精密さに現れている。
この建物は昭和天皇や今上天皇が一時期お住まいになった以外、東宮御所としてあまり使用されることなく、戦後、建物、敷地共に皇室から行政へ移管され、国立国会図書館、内閣法制局、東京オリンピック組織委員会などの公的機関に使用されていた。
この間、わが国が国際社会へ復帰し、国際関係が緊密化し、外国の賓客が迎えられることが多くなったため、国の迎賓施設をつくる方針がたてられ、これに伴い建設地や施設内容等の検討を行った結果、1967(昭和42)年に「旧赤坂離宮」を改修してこれに充てることとなった。
改修工事は昭和43年から5年有余の歳月と奏楽108億円の経費をかけて行われ、賓客に対し和風の接遇を行うための別館の新設と合わせて、1974(昭和49)年に現在の迎賓館が完成した。
開館以来、世界各国の国王、大統領、首相などの国賓、公賓がこの迎賓館に宿泊し、歓迎行事を始めとし、政財学界要人との階段、レセプションでの懇談など、華々しい外交活動の舞台となっている。また、先進国首脳会議(1979、1986、1993)、日本・東南アジア諸国連合特別首脳会議(2003、2013)などの重要な国際会議の会場としても使用されている。
平成18年から3年間、大規模な改修工事を行い、2009(平成21)年4月から迎賓施設としての運用を開始した。同年12月、創建当時の建造物である旧東宮御所(迎賓館赤坂離宮)本館、正門、主庭噴水池等が国宝に指定された。

・東京都港区元赤坂2-1-1
公式ホームページ

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