イタリア大使館別荘記念公園 (136 画像)
明治20年頃から昭和のはじめにかけて、中禅寺湖畔は、各国の大使館別荘を中心に多くの外国人別荘が建てられ避暑地として賑わいを見せた。訪れた外国人たちはさまざまな欧米文化をもたらし、以来奥日光・中禅寺湖は国際避暑地として発展していった。
園内の建物は、イタリア大使館別荘として利用されていたものを、当時の秘書生活が体験できる国際避暑地のシンボルとして復原したもので、奥日光・中禅寺湖の国際避暑地としての歴史を展示している。あわせて周辺の園地整備も行い、記念公園として一般公開した。副邸は往時の歴史を紹介する「国際避暑地歴史館」として整備された。
この別荘は、内装、外装ともに徹底的に杉皮張りが使用されたことが特徴である。
外装は杉皮とこけら板を割り竹で押さえた市松模様になっていた。また寄せ棟屋根の軒天井も全て杉皮によって仕上げられていた。内装は天井と壁がすべて杉皮張りで仕上げられており、各居室によって市松張り、網代張り、矢羽張りなど、模様が変えられていた。さらに一部の壁にはこけら板も併用されていた。
書斎と食堂に設けられた暖炉は玉石張りとなっていた。周囲に施された杉皮張りとあいまって、湖畔の別荘らしい自然な雰囲気を生み出している。自然の石や木材といった、その土地の材料を随所に用いた、モダンかつ地方色豊かなデザインの建物である。

●建築家 アントニン・レーモンド
アントニン・レーモンドは、著名な建築家として大正から昭和にかけて約40年にわたり日本で活躍し、その間チェコの名誉領事も務めていた。国内で数多くの設計に携わり、日本のモダンデザインの先駆者として、鉄筋コンクリート造の先進的な建築を数多く手がけた。また、木造の住宅、別荘、教会などの作品も多く残されている。国際避暑地日光の発展を支えた一人でもあり、この旧イタリア大使館別荘をはじめ、日光にいくつもの足跡を残している。
この別荘はイタリア大使、デラ・トーレの依頼により1928(昭和3)年に建てられた。レーモンドの図面には「地元の山材を配することに妙味あり」と指示が残されており、その土地の特色を生かすという設計方針のもとに建築されたことがうかがえる。

・「自伝アントニン・レーモンド」より
「日本で最初に出会ったイタリア大使は、デラ・トーレであった。軽井沢教会や、私の夏の家を建てた大工たちが、日光の中禅寺湖にイタリア大使館を建てた。非公式な図面と食堂の組み合わせは、当時決して都市では許されることではなかった。この因習からの脱却は、当時では革命的と考えられた・この建物は10年が寿命だと思われたが、40年後でもまだ使っている。」

●英国大使館別荘記念公園

・栃木県日光市中宮祠2482

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